2008年5月28日水曜日

スイスワインコラム第1回

このコラムはスイスワインを中心として、時にはワインの鑑定、ワインの選び方、扱い方などを盛り込んで、ワインを紹介していくコラムです。まずは極初歩的なワインの知識から紹介していきます。

ワインはブドウから作られます。ブドウのジュースに酵母を加えると、ブドウの持つ糖分を酵母が分解し、炭酸ガスとアルコールにします。こうしてブドウのお酒、ワインが出来上がります。

ワインの原料となるぶどうは、西アジアが原産と言われていて歴史に残る諸文明に受け継がれつつ、ヨーロッパで開花しました。このヨーロッパに伝わりワイン用に特化していったぶどうが、今や世界中で栽培されています。

もう一つ、ヨーロッパとは逆方向、東に向かったぶどうは主に生食用に特化していきました。アメリカ大陸系と言われるぶどうは皮が薄く粒が大きく、デラウェアや巨峰に似た特有の香りを持っており、フルーツとして食べるのには大変適しています。

反対にワイン用のぶどうは粒が小さく、皮が厚く、香りもなく、食べても大しておいしいものではありません。食べ慣れない人がワイン用のぶどうを食べると下痢することもあるので注意が必要です。

ところが、粒が小さいぶどうは濃密で、ワインを造るにはうってつけなのです。ワインのあの素晴らしい芳香はワインになって行く過程で作られていきます。香りもなく、食べてもおいしくないぶどうが、ワインになると大変身するのです。

素材も大切ですが、ワインは醸造が命ということです。人しか素晴らしいワインは造ることが出来ない、そういう意味では自然の恵みというより、絵画や音楽の様に人の手による芸術作品とも言えそうです。

なお、スイスワインの主なブドウ品種、シャスラは粒がちょっと大きめで、流石に巨峰の様な香りはありませんが、甘みが強く、生でおいしく食べられます。秋になるとスイスのスーパーに生食用のシャスラが並びます。